マジック・サム、近年(2013年)に鬼籍に入ったジミー・ドーキンス、存命中ならば、
僕が敬愛して止まないオーティス・ラッシュが主たるブルースマンであるが、その系統を引くと言ってもいいのが、ルーサー・アリスンだったと思っている。
前述のオリジネーターたちの中に混じって、ファースト・アルバム、"Love Me Mama"(1969年)をデルマークからリリースしたのが、実質のデビュー作と言うことになろうかと思う。
ボブ・ケスターが、どんな思いでこのスタジオ録音盤をリリースしたのかは、推し量るべくもないが、荒削りと言えば褒め言葉になってしまうだろうから、敢えて言うとすれば、音とプレイは凡庸な佳作に終わったと言っていいと思う。
その後、モータウンに移籍し、1作を作ったのち、ものの良し悪しは別として、1974年に強烈なアルバム、"Luther's Blues" をリリースした。
そのタイトルチューンを、Youtubeから引っ張ってみよう。
その後も何作かは出すものの、この"Luther's Blues"が、いわゆるブルース評論家たちに、
先鋭的過ぎると言うようなニュアンスで、散々こき下ろされる羽目に。。。
その時を同じくしたようなライブ音源(1974年)を、くだんのUKレーベルのCHARLYが
ベスト盤としてたった6曲ではあるが、リリース(1993年)している。
ジャケットを見る限りにおいては、期待が膨らむ御仁もいらっしゃるだろうが、さにあらず、なのである。(苦笑)
この中から、僕がYoutubeにアップした"Dust My Bloom"をご参考までにあげておく。
いくらシカゴで頑張っていても、うだつの上がらないルーサーは、さっさとパリに居を
移してしまった。
フランスなら、自分のスタイルを理解してくれるだろうと思ったのかも知れないが、
その後のルーサーのディスコグラフィーは、All Musicに詳しく出ている。
Blind Pigや、Alligatorなども散見されるが、ルーサーがパリに居ながら注目されるように
なったのは、晩年近くになってからのことである。
この、モントリオール・ジャズ・フェスティバル(1997年)での、"It Hurts Me Too"をご覧
頂きたい。
圧倒的なパワーと、ふり絞るようなルーサーのボーカルとスライドギター。
ここに来て、やっと花開いたと言うより、ここに至るまでのルーサーの人生のプロセスが
垣間見えはしないか?
同年、インド洋のフランス領の島でのライブDVD、"Live In Paradise" (RUF 2001)が
この人の最後の映像になってしまっている。
しかし、素晴らしい映像である。 少し、編集されてはいるが、こちらも紹介しておこう。
しかし、1999年に、ルーサーの最高傑作とされる2枚組のアルバム、"Live In Chicago"が
Alligatorからリリースされた。(1995年のシカゴ・ブルフェスからの音源である。)
シカゴから見放され、またシカゴで最高傑作をリリースするってのは、ルーサーにとっては、「故郷に錦を飾る」 なんて言葉は要らないほどに名誉なことでもあり、かたや皮肉さえでもあるとは言えはしないだろうか?
いずれにしろ、ルーサーは成功者として、1999年にこの世を去った。
したがって、不遇な時期はあったにせよ、決して不遇な人生ではなかったはずだ。
フル・アルバムが、これまたYoutubeにあったので、紹介しておくが、この音源に対する
DVDが未だに出てないってのが、不思議でさえある。機を見て、ブルース・イグロア辺りがその映像を公開してくれる日を待ち望む次第である。
※動画として、このブログに貼れないので、こちらで、2時間を超える音を堪能して頂きたい。