2016年10月11日火曜日

ロンドン・セッションと言えばこの2枚でしょ。

 ブリティッシュ・インベイジョンと言って、本国アメリカを尻目に、
イギリスにおいては、ビートルズが出てきた1963年ぐらいに、マージー・ビートを
筆頭に、 ブルースも、同じようにもてはやされた時期をこう呼んだと記憶している。
つまりは、『イギリスによる侵略』 と言うような意味で未だに語られることが多い。
おそらく、一番初めに出てきたのは、アレクシス・コーナー辺りではないだろうか?
同時に、ジョン・メイヨール&ブルース・ブレイカーズ、ヤードバーズ、サヴォイ・ブラウン、フリートウッド・マックなど、ブルースを基調にした音楽がどんどん出て来た。
70年代に入ってからも、ブルース発祥の地、アメリカからも黒人ブルースマンたちが、イギリスに渡り、 色々とセッションしたり、イギリス流のブルースが大流行した。
その最たるものが、"The London Howlin' Wolf Sessions" と、"The London Muddy Waters Sessions"の2枚に集約されていると言っても過言ではないだろう。

このどちらも、イギリスのブルース好きのミュージシャンばかりが集まって、ハウリン・
ウルフ、マディ・ウォーターズ御大二人に、教えを乞うようなアルバム構成になっている。
まぁ、皮肉にも、リリースされたのは、アーバン・ブルースの聖地、シカゴのCHESSレーベルではあるが。。。
これは、ライナーノーツに、チェス・レーベルの社長、マーシャル・チェスとシカゴ大学のノーマン・ダイロンの話から出てきたものらしい。

前者は、1971年にリリースされたものであるが、僕が写真を貼ってあるのは、1997年にリイシューされ、ボーナス・トラックも3曲含めたCDジャケットであって、イラストもLPの方が趣きがあっていいと思う。
パースネルとしては、おなじみエリック・クラプトン、スティーヴ・ウインウッド、ビル・
ワイマン、チャーリー・ワッツと、当代の人気者ばかりである。あとは、ヒューバート・
サムリン、クラウス・ブアマン、珍しいところではフィル・アップチャーチがベースで参加
していたりする。(※Rockin' Daddy) あと、ドラムスが、"Richie"となってはいるが、これは、リンゴ・スターが匿名参加と言うことだろう。
このアルバムでよく語られるのは、"Little Red Rooster" で、クラプトンが弾き方をハウリンから伝授してもらうトラックがあるが、実際その通りに弾いたかどうかは、はっきりしない。
この中から、僕が結構元気が出る"Built Comfort"をYoutibeから引っ張ってみる。

後者の方は、1972年にロンドンで録音されたものをCDとしてリイシューされたもので、ミキシングはニューヨークで、かのジミヘンのエレクトリック・レディ・スタジオにおいてなされたものである。
パースネルは、無論、マディ御大に加え、ロリー・ギャラガー、サム・ローホーン、リック・グレッチ、これまたスティーヴ・ウインウッド、目立ったところでは、ジミヘンのバックを務めたミッチ・ミッチェルがドラムスを。特筆すべきは、かのぶっ叩きハープの
キャリー・ベルも参加している。
出てくる音は、当然のことながらマディ節なんだけれど、上のようなメンバー構成で聴いて
みると、イナたいというより、ある程度ソフィスケーティツドされた音に聴こえる。
この中から、ロリー・ギャラガーがスライドを弾いている"Walking Blues"を。。。

  とかく、ロンドン・セッションと言えば、上の2枚のアルバムが、カップリングされて
有名ではあるけれど、1969年に遡ると、同じくCHESSレーベルから、
"Fathers And Sons" と言うこれまた玄人好みの音源が存在する。
 この音源も、シカゴ大学のノーマン・ダイロンのプロデュースによるもので、裏ジャケを
ご覧いただくと、何やらポール・バター・フィールド・ブルースバンド、もしくは、エレクトリック・フラッグが御大マディのバックを務めているような感も否めない。
ドナルド・ダック・ダンがベースで参加しているのも嬉しい。
ポールが入ってるせいか、ロンドン・セッションよりはイナたい感じがする。
マイク・ブルームフィールドファンの僕としては、御大のゆっくり切り裂くようなスライド・ギターに食傷気味になって、そうそうヘビロテで聴くアルバムではないけれど、
マイクが寄り添うようにして、フィルインしている御大オリジナルの"Blow Wind Blow"
あげておこう。

2016年10月5日水曜日

キャシ・マクドナルドは、ジャニスではない!

女性ボーカリストの中で、出色だと称されるには、他の誰にも似てない事が重要だ。
例を挙げるとすれば、フィービー・スノウとか、リッキー・リー・ジョーンズ、
ルーシー・フォスターとか、その個性が光り輝いている事が条件だとも思う。
歌い方や声質だけが似ているだけで、〜のフォロワーだとか言われるのは、彼女たちに
してみれば、迷惑極まりない事であろう。
冒頭のタイトルにも書いてはいるが、キャシ・マクドナルドの心の中を推し量る事はできないけれど、きっと、「キャシは、ジャニス・ジョプリンの再来」だとか、フォロワーなどと言われる事は、本意ではなかったであろう。僕の勝手な推測ではあるが、、、。
確かに、ビッグ・ブラザー&ホールディング・カンパニーと一緒に演ったとしても、キャシは、キャシ以外の何物でもない。
また、リオン・ラッセルのバックで歌っていたからと言って、「キャシはスワンプ系のロック・シンガーだ。」などと言われる事に、あまりいい思いはしていなかったに違いなかった事だろう。
キャシについては、知り合いから、キャシの1stアルバム、"Insane Asylum"(1974)
邦題では「精神病棟」 などと言うアシッド・ロックでも思い起こさせるようなタイトルがついているが、このアルバム自体が彼女の最高傑作と言ってもいい。
 この音源を初めて聴いたのは、知り合いからCD-Rでもらった時であり、その素晴らしさに、改めて音盤として購入しようとしたら、もうすでに、iTunesストアからのデジタル音源のダウンロードだけになってしまっていて、アートワークなども落としたが、その詳細はなかなか分からずにいた。まぁ、ニルス・ロフグレンや、ニール・ショーンなどのクレジットがあるにはあったが、スライ・ストーンの名前はなかった。
前述で、このアルバムがキャシの最高傑作と書いたが、なぜかこのアルバムの最後の曲、
皮肉にも、タイトルチューンの"Insane Asylum" の出来栄えが圧倒的なボーカルの掛け合いで最高なんやね。「百聞は一見に然り」 と言うけれど、ご一聴願いたい。
これを聴いてしまったら、あとはどうでも良いようなものと、暴論をしてしまいそうなのだが、詳細は省いてしまうが、1999年にリリースされた、"Above & Beyond"が、これまた素晴らしい出来なのだ。
キャシのボーカル・スタイルを一言で言うのは難しいけれど、ちゃんとルーツ・ミュージックを基にしていて、その上で彼女の緩急自在なボーカルを紡いで行くと言うか、
やたら滅方な作り方をしていない所がこれまた彼女の魅力を引き出していると言ってもいいだろう。このアルバムの中で、"I Put Spell On You"だけを聴いたら、ジャニス!と
言ってしまいそうだが、さにあらずなのを含んで置いた上で聴いて欲しい。
※"I Put Spell On You"

最後に、これまた、デジタル音源しか存在しないのではあるけれど、1997年〜2000年
のキャシの音源で、スタジオ録音も含めて、ライブ音源をまとめた、いわば追悼盤(2012年没)とも言うべきアルバムが、MERRIMACK RECORDSから、2014年にリリースされて
いたので、ご紹介しておこうと思う。 アルバム名は、"Yard Bird"と言うが、ここからは
あえて"Hoochie Coochie Man"とも思ったが、敢えて、ジャズの名曲"God Bless The Child"をアップして、締めておく事にしよう。 これまた、味わい深いキャシの違った面が伺えると思う。
※"God Bless The Chld"

2016年10月4日火曜日

ルーサー・アリスンは不遇だったのか?

シカゴブルースの中でも、ウエストサイドのオリジネーターとしては、若くして亡くなった
マジック・サム、近年(2013年)に鬼籍に入ったジミー・ドーキンス、存命中ならば、
僕が敬愛して止まないオーティス・ラッシュが主たるブルースマンであるが、その系統を引くと言ってもいいのが、ルーサー・アリスンだったと思っている。
前述のオリジネーターたちの中に混じって、ファースト・アルバム、"Love Me Mama"(1969年)をデルマークからリリースしたのが、実質のデビュー作と言うことになろうかと思う。

ボブ・ケスターが、どんな思いでこのスタジオ録音盤をリリースしたのかは、推し量るべくもないが、荒削りと言えば褒め言葉になってしまうだろうから、敢えて言うとすれば、音とプレイは凡庸な佳作に終わったと言っていいと思う。

その後、モータウンに移籍し、1作を作ったのち、ものの良し悪しは別として、1974年に強烈なアルバム、"Luther's Blues" をリリースした。
そのタイトルチューンを、Youtubeから引っ張ってみよう。

その後も何作かは出すものの、この"Luther's Blues"が、いわゆるブルース評論家たちに、
先鋭的過ぎると言うようなニュアンスで、散々こき下ろされる羽目に。。。

その時を同じくしたようなライブ音源(1974年)を、くだんのUKレーベルのCHARLY
ベスト盤としてたった6曲ではあるが、リリース(1993年)している。
ジャケットを見る限りにおいては、期待が膨らむ御仁もいらっしゃるだろうが、さにあらず、なのである。(苦笑)

この中から、僕がYoutubeにアップした"Dust My Bloom"をご参考までにあげておく。
聴いてみてお分かりだろうが、いまいちパッとしない。

いくらシカゴで頑張っていても、うだつの上がらないルーサーは、さっさとパリに居を
移してしまった。
フランスなら、自分のスタイルを理解してくれるだろうと思ったのかも知れないが、
その後のルーサーのディスコグラフィーは、All Musicに詳しく出ている。
Blind Pigや、Alligatorなども散見されるが、ルーサーがパリに居ながら注目されるように
なったのは、晩年近くになってからのことである。

この、モントリオール・ジャズ・フェスティバル(1997年)での、"It Hurts Me Too"をご覧
頂きたい。
イントロから、ルーサーの汗がほとばしるようなブルースを感じ取れはしないか?
圧倒的なパワーと、ふり絞るようなルーサーのボーカルとスライドギター。
ここに来て、やっと花開いたと言うより、ここに至るまでのルーサーの人生のプロセスが
垣間見えはしないか?

同年、インド洋のフランス領の島でのライブDVD、"Live In Paradise" (RUF 2001)が
この人の最後の映像になってしまっている。
しかし、素晴らしい映像である。 少し、編集されてはいるが、こちらも紹介しておこう。

しかし、1999年に、ルーサーの最高傑作とされる2枚組のアルバム、"Live In Chicago"が
Alligatorからリリースされた。(1995年のシカゴ・ブルフェスからの音源である。)
シカゴから見放され、またシカゴで最高傑作をリリースするってのは、ルーサーにとっては、「故郷に錦を飾る」 なんて言葉は要らないほどに名誉なことでもあり、かたや皮肉さえでもあるとは言えはしないだろうか?
いずれにしろ、ルーサーは成功者として、1999年にこの世を去った。
したがって、不遇な時期はあったにせよ、決して不遇な人生ではなかったはずだ。

フル・アルバムが、これまたYoutubeにあったので、紹介しておくが、この音源に対する
DVDが未だに出てないってのが、不思議でさえある。機を見て、ブルース・イグロア辺りがその映像を公開してくれる日を待ち望む次第である。
※動画として、このブログに貼れないので、こちらで、2時間を超える音を堪能して頂きたい。

2016年10月2日日曜日

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エルモア・ジェームスが凄い!って言うのに理由は要らない。



パッと、その音を聴けば、剛腕投手のストレートボールに、これまた剛腕ヒッターがホームラン性のあるバッティングを想起させるような、あのスライドギター。。。
この"The Sun Is Shining"を聴いてみて欲しい。

まさに、鋼のような声と、ダイナミックなギターの音に身を任せるしかないほどに、魅力的である。昔、ブルース好き仲間と話してた時、「エルモアっていいよなぁ〜!ただ、全部一緒に聴こえるけど。(笑)」と、よく言ってたものだった。
まぁ、それは、"Dust My Bloom" でブレイクした為やとも思うけれど、この3連スライドギターのオリジネーターやからと思う。ロバート・ジョンスンの曲ではあるけれど、初めてアルバム1枚通して聴いた人なら、そう感じても仕方ないかとも思う。

この人の魅力ってのは、確かにこのスタイルが彼のトレードマークではあるけれど、
中には、タンパ・レッドの曲で、"Sho 'Nuff I Do"なんて、おっとりとした曲も充分に魅力的である。例によって、ブルースの歌詞ではありがちな、男と女の痴話喧嘩みたいなものではあるけれど、エルモアにしては、ほのぼのとした曲調で僕も好きな1曲である。

話が後先になって申し訳ないが、トップの写真は、"Whose Muddy Shoes"と言うタイトルが付いてはいるものの、ジョン・ブリムとのコンピレーション・アルバムでおそらく、エルモア・ジェームスと聞けば、このジャケットを思い浮かべる人も多いことだろうと推測できるぐらい有名なジャケットやね。
まぁ、ジョン・ブリムもこの中では、なかなかにイナタい曲を披露しているけれど、エルモアの曲と互い違いにコンピレーションされてるせいか、ホッとする時もある。
ニシキヘビのブルースってか?(笑)

閑話休題。

僕の持っているエルモアの中でも、前出の"Sho 'Nuff I Do"も入ってる、"Let's Cut It"と言うベスト・アルバムが一応名盤とは言われてるが、何せこの人の音源って凄く多いのは確かである。
  

ごく最近、入手した2003年の"King Of The Slide Guitar" と言って、
CHARLYという、イギリスのレーベルから出ていたものではあるが、3枚もので、1965年辺りから晩年に近い1975年ぐらいまでを年代別にコンピレーションしたものではあるが、
さすがに僕は、この3枚をiTunesには、入れていない。(苦笑)
パッケージの左上のシールに、かのブルース好きのビル・ワイマンが、「ストーンズが出て来る前は、エルモアはメジャーだった。」と、なんだか自慢げに記されている。
 こう言うブルースのコンピレーション・アルバムって、本国アメリカより、イギリスから
リイシューなり、コンピレーションなりを出すのって、イギリス人の方がブルース好きなのかもしれない。
秋の夜長に、エルモア・ジェームスを聴いてみるってのも、いいかもしれない。
その場合、すぐに飽きないことを祈ります。(笑)

2016年9月30日金曜日

2-in-1 CDは、何となく寂しいけど、、、

引っ越しのために、LP、すなわちレコードを全部始末してしまった。
さっき、CD棚を見ていると、結構2-In-1のCDが目に入った。
まぁ、元々LPで持っていたもので、なかなかCD化していないものが、そんな形でも手に
入るってことは有難い。
それほどの名盤でなくっても、アーティストによっては、コレクターズ・アイテムとして、
iTunesなどに放り込んで置けるのも、ちょっとこの曲だけ、なんて場合は便利ではある。

まずは、マイク・ブルームフィールド(ユダヤ系だから、ミカエル・ブラムフェルドとか言う表記が、All Musicになされてた覚えがある。)
TAKOMAレーベル(TAKOMA) でのマイクは、もうボロボロと言うか、すでにオーバードーズで、演奏もヘロヘロに近い。下記の表ジャケットの左が1979年、右が1980年(もはや晩年に近い。)前者の方などは、自分がジューイッシュ系であることから、自虐的な曲を演じたりもしていて、はっきり言って聴くに堪えない。後者もギターフレーズは知れている。
ただ、マイクの音だけってことかな。
それでも、マイクの音源だけってことだけ。故に、マイク・ファンとしては、持って
置きたいのよね。(笑)
続いては、"All American Boy"、続いて"Spring Fever"の2作だけで、一発で有名になってしまった美形だったリック・デリンジャー❗️マッコイズの後、ジョニー・ウインターと行動を共にしてたためか、音も弾き方もそっくりなタイプやね。まぁ、Facebookで見てると、最近は奥さんとのコラボやなんかで、悠々自適な録音なんかしてるみたいやけどね。
で、その2-In-1CDがこれ。

これは、1979年にリリースした、ポップな感じのロックンロールアルバムの域をでてはいない。僕が聞きたかったのは、1980年の"Face To Face"のガラッとイメージが変わった質のいいバラードを含むアルバムの方である。Youtubeでは、全曲上がってはいるが観れない状態になっているのが惜しい。"Big City Loneliness"や"Burn The Midnight Oil"なんかは十分聴くに値する佳曲やと思うのやが。。。
この中でも、"All American Boy" にも入っている"Jump, Jump,Jump"を再演しているので、くっつけておきましょう。しかし、マッコイズからなかなか離れられてなかったんやね。(苦笑)

僕の中では、伸ちゃんは健在です!

僕の大好きな塩次伸二。いや、親しみを込めて伸ちゃんと言うことが多い。
僕が撮った伸ちゃんの写真の中で一番好きなのがこれ。
このジョー・バーデンのテレキャスは、ギタージムを継承した、晴さんこと田中晴之さんほか、お弟子さんたちが使っているようですね。
2008年10月19日に57歳と言う若さでこの世を去ってしまったけれど、2007年に西宮で
晩ご飯をご一緒したのが唯一の思い出となっています。
今年も、伸ちゃんのウェブサイト へ行ってお悔やみ掲示板に書き込みしたいと思います。

そんな中でも、晴さんとの絶妙の掛け合いをしたデルタ・ボーイは、最高です。
 
 この姿を観られるだけで幸せな気持ちになれます。
撮影したEddie Brianに感謝❗️